このどんぶり、一番下にカツが2枚。中に2枚。どんぶりのお椀にごはんが山盛り(マンガ盛り)で、一番上にカツが4枚。来る時にフタが載ってんだけどしまってない。フタの意味がない。
そして孤独な戦い。店に客が自分以外に1人しかいない。
「よーいスタート!」
店のお姉ちゃんがストップウォッチを計る。
なんだこの痛々しい空気は。
知人がわーわー言ってるようなところだったら、はふはふ言いながらがんばって食べるべきところを。逆に一所懸命だと恥ずかしい空気。
もう普通に食ったね。ちゃんと味わって食べる。つうか見た瞬間、無理と思ったから。お椀の上にはみ出してるごはん食べただけでおなかいっぱいだし。まあ、時間切れになっても完食だけはしておこうと、普通に食べる。
残りが、普通のカツ丼と呼べるような形態になった時
「10分30秒経過」
お姉ちゃんの声が虚しく響く。俺は諦めてんだ。もうほっておいてくれ。ただマイペースに食べる俺。
「13分経過」
あれ?残りはあとちょっとだぞ。この残ったご飯を食べちゃえばチャレンジ成功じゃねぇか?
ごはんをササッと食べる。
「おめでとうございます!」
やった!成功したぞ。普通に食って成功。すごいぞ、俺。
86人目の成功者として店に名前を刻む事になった。
記録13分25秒